真夜中のお弁当
スーパーの惣菜売り場に並ぶ弁当。
父はその弁当を盛り付けている一人だ。
父は昼間普通に働いている。弁当は副業だ。
仕事から帰るとシャワーを浴びて夕飯をかきこんで副業に出かける。
父は仕事を転々としていた。慎重に就職先を決めなかったためか運悪くパワハラする人がいる会社にばかり当たり、精神的にも肉体的にもぼろぼろになりながら働き、住宅ローンの返済をしている。つい最近転職したばかりで給料は新卒より低いかもしれない。父自身もあまり器用な性格ではないため人とうまくやれないのだろう、父にも非はある。わたしに良く似ている。わたしも同じように職を転々としている。
話が逸れたが、父は住宅ローン返済のため深夜に弁当を盛り付ける仕事をしている。
父に聞くと同世代で副業をしているという人が多いらしい。このご時世、副業でもしないとやっていけないのだ...
自営業だがコロナで売り上げが激減して副業に来ている人、親会社の都合で勤め先の工場が止まり収入が減った人、外国人や女性、いろいろな人がいるという。
スーパーに並ぶ弁当を見て思う。この弁当が誰かのお腹を満たし、心を満たしているだろうか。食べた人は喜んでくれるだろうか。(喜んでくれただろうか。)
毎晩遅くに帰宅し、朝早く出社する父を見て思う。父のこの苦労が遠いどこかの誰かを幸せにしていてくれたらいいなと。そうであればわたしも嬉しい。
父の負担を少しでも減らしてあげられるようにわたしもがんばらねば。