日陰生活

どこにも誰にも言えないからここに書いておきます

母親になんてなりたくなかった

わたしは子育て中の身。

コロナ禍の出産、立ち会いも面会もなく一人で産んだ。

子どもが欲しいと思ったことは一度もなかった。そんなわたしが母親になるなど自分でも驚いている。

結婚するまでは仕事ばかりしていたので仕事中心。仕事は好きだった。できることなら続けていたかった。

仕事と趣味の旅行がわたしにとっての生きがいだった。わたしはそれで満足していた。

今思うことは自分が好きなように生きるべきだったと思う。

歳を重ねるにつれ、親族からの「結婚はまだか?」という圧に苦しめられるようになった。適当に流せばよいのに、やはり世間的にも結婚はしたほうがよいのだろうか...と考えてしまう。結婚って何なんだろう。絶対しなくてはいけないのか。結婚=幸せなのか。

(結婚してみたが=幸せとは思わない。幸せなことばかりではない。)

わたしの知り合いには結婚せずとも人生を謳歌している方々がたくさんいる。結婚して家庭を持って幸せそうな友人もいるが。いろいろな生き方があっていい。自分がどう生きたいかだって自由なはずだ。


わたしは前者に憧れていたが結局、強く意思を貫き通せなかった。マニュアル通りにしか動けない人間。誰かが「幸せ」と勝手に定義づけた人生のマニュアル、高校や大学へ行き、就職し、結婚し、家庭を持つ。そんな人生を選んだ。婚活というかとりあえず恋人を作ろうと出会いの場へ行った。そこで出会った今の夫とお付き合いすることになり、その後結婚に至った。

夫といる時間は楽しかった。自分の弱い部分も考えも分かってくれて一緒にいて楽だった。別に結婚しなくても二人で居れればそれでよかった。気楽に幸せにお付き合いを続けていたら、周りから結婚はいつか?としつこく問われる。自分の両親やその他親族からそう言われるのは面倒だった。彼からプロポーズされたわけではないし、彼が結婚を考えているかも分からない。彼がいる前で結婚の話をされるのが辛かった。自分の親だけでなく、彼の親族からも結婚についてはいろいろ言われた。入籍はいつ?式はいつ?どうして古い世代の人たちは交際→結婚→式が当たり前みたいな言い方をするんだろう。

結婚したらしたで変わりなく幸せだった。(前述したように幸せなことばかりではないが。)

戸籍が動くぐらいで二人で居られることには変わりはなかったから結婚も悪くないと考えが変わった。


それでも子どもが欲しいとは思えない。彼が好きでも彼との間に子が欲しいとは思えない。いや、どちらかというと子育てをしたくなかった。

自分自身が子どもだから、子を育てるなど不安でしかなかった。それと「自由(自分の時間)」が奪われることが何よりも嫌だった。結婚しても今まで通り仕事がしたい、趣味も楽しみたい。それは子ができてからでもできる、と言う人もいるが...そうではなく今は今。今を楽しみたい。


そんなことを思っていたわたしが母親になってしまった。またしても親族からの「子はまだか。」「孫の顔が見たい」という言葉で苦しめられた。ついには夫もそろそろ子を...と言う。夫には子は欲しくないと話してあったが、やっぱりいた方がという話になった。

拒むわけにはいかない。出た、わたしの悪いところ。子に前向きでないわたし、夫や親族から「嫌われたくない。」そう思い、拒めなかった。

子ができたらわたしはきっと「あの時子どもはいらない。」と自分の意思を貫いておけばと後悔するんだろうと思っていた。案の定今後悔している。


検査薬で陽性が出た時には、夫は大喜びしたがわたしは受け入れられず薄い反応をしてしまった。そのあと、夫を悲しませたくないと無理矢理明るく振る舞った。喜んだふりをしてしまった。

妊娠が発覚してからはひどい悪阻に悩まされた。体調不良は初期から出産時まで続いた。お腹が大きくなると体調は悪化。自分の身体が乗っ取られたかのよう。早く出してしまいたかった。そして産んで3ヶ月になる今も体調不良が続いている。これまで身体に何一つ問題なく健康で、健康しか取り柄がなかったぐらいなのに。妊娠によって健康な身体が奪われた。

身体が戻らないまま、身体に鞭打つように休みなく子育て。何度も自分自身が壊れそうになった。というか壊れている。

コロナ禍で外出できない。(趣味の旅行ができない=気分転換ができない。)

ゆっくり寝たくても寝られない。

とはいえ、里帰り出産のため家族がいてくれるから手伝ってもらえる。だからそれだけでもありがたい。

完全なワンオペではないが、それでも基本的にはワンオぺでやらねばならない。家族はずっと家にいるわけではない。

子が寝ている時間が自分の自由時間。そう思っていたがあまり寝てくれず、ぐずってばかり。結局自分の時間はない。子を育てるということは自分の時間を犠牲にすることと覚悟したけれど受け入れられず、ストレスでイライラしてしまう。

寝てくれない。

母乳を拒む。

ミルクを残す。

抱っこしないと泣く。


赤ちゃんだから仕方ないのに。子が泣くたびに嫌な気持ちになる。うるさい。ずっと家の中で意思疎通できない人間と二人きり。気が滅入る。

赤ちゃんはかわいいなんて綺麗事。かわいいばかりではない。こんなこと書いているわたしにも赤ちゃんはかわいいという感情はある。それでも自分の心と身体の不調と子育ての疲労で「子どもなんていなければこんな思いしなくて済んだのに」と思ってしまう。


母親に悩みを打ち明けたならば

「自分の時間なんて今必要ないでしょう。子育てをやればいいの。」

「子はかわいいものだからそんなことを言うんじゃない。」

「子がいるだけでそれ以上の幸せはない。」

そう言われてしまった。

自分の時間は必要だ。子育てを頑張るためにも。一人になる時間、趣味の時間で気持ちを高めないと子育てなんてできない。ハイになって子育てをしていたら潰れる。

子はかわいいもの、それは分かるがかわいくないときだってある。わたしは子はかわいいと無理矢理自分に言い聞かせてハイになって子育てしていた。でも無理、かわいくない。

子がいるだけで幸せ?子が欲しくてたまらなかった母はそうかもしれないが、欲しくなかったわたしからしたらそうとは限らない。自分の価値観を押し付けないでほしい。


コロナ禍、ストレス発散の場も相談できる場も逃げ場もなく、家に篭りっぱなしの日々。最近は死にたいとまで思ってしまう。


やっぱり母親になんてなりたくなかった。子育ては向いていない。あの時、きちんと拒めたらよかった。

せっかく生まれてきたのにわたし(母)だけが生まれてきたことを心から喜べずにいること、むしろ憎らしいと思っているなんて母親失格だ。酷すぎる。

わたしだって本当は子はかわいい、大好きだ、子育て大変だけど楽しいと思っていたい。

世のお母さんたちはずっとそう思っているのだろうか。こんなふうに子育てに対してネガティブに考え、子を邪魔だとすら思う自分が情けない。

子には罪はない。わたしの都合。産むと決めたのはわたし。


次、また泣き出すのが怖い。